Linux OS 回その 1 : 基本的なコマンド

のびのびラーニング
6 min readMay 3, 2020

さて、普通の Raspberry Pi 入門の記事なら、ここから
「それじゃあインターネットをしてみましょう」とか
Scratch でプログラミングをしてみましょう」
のような華やかな流れになるところですが、他と同じような記事にしても仕方ありませんので、こちらでは Raspberry Pi 自体を自分で管理できることを目指したいと思います。

Raspberry Pi は micro SD に OS が入っていることもあり、ふとしたきっかけで起動しなくなったりする(OS が壊れる)ことがあります。

しかし弱みと強みは表裏一体で、安価な micro SD だからこそ、複数枚を差し替えて他の OS を起動したり、用途に合わせて OS を入れ替えて遊ぶこともできます。

こちらでは、

  • Raspberry Pi で Raspberry Pi 用の micro SD を作ることができる。
  • micro SD 内の OS が壊れても、他の micro SD で起動し復旧できる。

などを具体的な目標としたいと思います。
これができるようになれば、PC が無くても Raspberry Pi のみでコンピューター生活を営むことも十分に可能になります。

そのために、まずは少々地味めな内容からお話が始まります。

1. 昔々のコンピューターと「ターミナル」

PC が世の中に登場した時、まだ「Windows」はありませんでした。

ウィンドウシステム」という、現代では当たり前の「マウス」で操作する PC が主流になったのは 1990 年代半ば以降で、それまでは「黒い画面に文字が表示される」のが当たり前でした。

しかし現代でも、ユーザーが直接触れることのない基幹部分のソフトは実は当時とほぼ同じ仕組みで動作しています。
ウィンドウシステム上で動作する GUI (Graphical User Interface) のアプリはあくまで「コンピューターを使っている人が直接操作する必要があるもの」のみで、システムの基幹ソフトや GUI を持たないアプリとのやりとりは「ターミナル」という「コマンドで操作するアプリ」を介して行います。
ターミナルはつまり、ウィンドウシステム登場以前のコンピューター操作を行うアプリです。

ターミナルは日本語では「端末」という意味になります。
昔々「パーソナルな」コンピューターが主流でなかった頃は、「コンピューター本体」と「操作する機械」が別々でした。
そして後者が「端末」という機械でした。
「ターミナル」というソフトの名前は、その頃の名残です。

そして基幹ソフトの制御以外でも、ターミナルの操作は活躍のシーンがあります。
それは、Raspberry Pi や、更に小規模で安価なコンピューターで、ウィンドウシステムそのものを動かすだけのパワーが無かったり、そもそも「画面」が無いものもあります。
これらの小さなコンピューターは昔の PC と同じような性能で、そして安価なため教育用途で扱われるものも多くあります。
そのような環境では、必然的に昔ながらのコマンド操作で制御することになります。

2. 最初のコマンド : whoami, hostname, pwd

前置きが長くなりましたが、早速ターミナルをクリックして起動してみましょう。
Raspberry Pi 上部のツールバーにある、「黒い画面」のアイコンがそうです。

起動すると、

pi@raspberrypi:~ $

という文が現れたと思います。これで準備 OK です。
前のものから、それぞれ以下の意味になります。

  • pi : ユーザーの名前
  • raspberry : コンピューターの名前
  • ~ : 下で説明します
  • $ : 一般ユーザーのコマンド待ち状態を表すマーク

まず、キーボードで whoami と入力し、Enter を押してみましょう。

pi

と表示されたと思います。
whoami は、ユーザー名を表示するコマンドなので、ユーザー名の pi が表示されました。

次に、キーボードで hostname と入力し、Enter を押してみましょう。

raspberry

と表示されたと思います。
hostname は、コンピューター名を表示するコマンドなのでした。

Raspbian では、デフォルト(既定、あらかじめ決められている)のユーザー名が pi、コンピューター名が raspberry ですが、これらは好きな英数字に変えることも可能です。

この黒い画面での操作のことを、GUI と比較して CUI (Character User Interface) などと言いますが、CUI では、ユーザーは「どこかのディレクトリー(フォルダー)の中に『いる』もの」という考え方をします。
ユーザーが小人になって、どこかのディレクトリーの中に入っているというイメージです。

次に、キーボードで pwd と入力し、Enter を押してみましょう。

/home/pi

と表示されたと思います。これは、今いるディレクトリーの場所です。

Linux では、ディレクトリーのことをスラッシュ / で表します。
インターネットのアドレス (URL) も / で区切りますよね?あれと同じことです。

最初のスラッシュ / は「ルートディレクトリー」と言う、一番上にあるディレクトリーです。
Windows の C: ドライブのようなイメージです。
このルートディレクトリーの中に、「home」というディレクトリーが入っています。
そして home の中に「pi」というディレクトリーが入っています。
home は、ユーザーのファイルを入れるところなので、pi さんの名前のディレクトリーがあるのです。

pwd は「今いるディレクトリーの場所を表示するコマンド」なので、「pi さんは今、home の中の pi の中にいる」ということになります。
そしてコマンドの左側にある ~ の正体は、home の中の「自分のディレクトリー」を表す記号です。
「ホームディレクトリー」と言うのですが、home のことではなく /home/pi のことなのでご注意ください。「自分の物を入れるとこ」ということです。

pi さんにとっての ~ は /home/pi のことなので、以下の 2 つは同じものを指し示しています。

  • /home/pi/Desktop
  • ~/Desktop

今回の内容は以上です。
ご精読頂き、まことにありがとうございます。

次回は、ディレクトリーの中身を見たり、ディレクトリーを移動したりしていきます。

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